治療
関節リウマチの治療の原則は基礎療法・薬物療法・リハビリテーション・手術療法です。治療の選択は、病気の重症度・合併症・日常生活の不自由さなどを総合的に判断して行います。
関節リウマチの関節の破壊は、発症して2年以内に急速に進行することが分かっています。一度破壊された軟骨・骨・関節は元に戻すことができないので、早期診断・早期治療が重要になります。
基礎療法
基礎療法は関節リウマチという病気を理解し、適度な運動と安静、食生活など規則正しい生活を送ることです。そのほか、喫煙や歯周病が関節リウマチの活動性に関与していると考えられているため、禁煙などの指導が行われることもあります。
薬物療法
薬物療法は治療の中心的存在であり、リウマチによる関節の炎症や破壊を抑え、寛解を目指す目的で行われます。治療薬としてはまず抗リウマチ薬が検討され、薬の効果が不十分な場合に生物学的製剤やJAK(ジャック)阻害薬の使用が検討されます。
第一選択薬は抗リウマチ薬のメトトレキサートですが、間質性肺炎を合併している人などには使用できないため、その場合には別の抗リウマチ薬が処方されたり、抗リウマチ薬を使用せずに生物学的製剤やJAK阻害薬が処方されたりすることもあります。生物学的製剤とは生物が産生するたんぱく質などの物質を改良して作られた比較的新しい薬のことです。現在、関節リウマチの治療薬として使用できる生物学的製剤は8剤あります。また、JAK阻害薬とは炎症に関わるヤヌスキナーゼ(JAK)という酵素のはたらきを阻害することで関節リウマチの炎症を抑える治療薬です。現在、関節リウマチの治療薬として使用できるものは5種類あります。
また、関節の痛みを和らげる目的で非ステロイド性抗炎症薬による補助療法が行われることもあります。
リハビリテーション
関節の機能(関節の動く範囲と筋力)を保つためのリハビリテーションも有用です。関節の変形や保護、日常動作の助けのために頸椎カラーや足底版などの装具を使用することもあります。
手術療法
また、薬物療法やリハビリテーションによる治療を行っても、変形等による関節の障害が残ってしまう場合、手術療法が選択されることもあります。具体的には、人工関節置換術、滑膜切除術、関節固定術、腱断裂・手指・足趾の手術、頸椎の固定術などが行われます。
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